Wall Surrounded Journal

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捏造の分類

 短い時間ではあるが、思考して情報の「捏造」というものを分類してみた。
 本当に短時間なので*1、さらに大分類可能であると思うので、他の大・中分類を発見された方はご教授願いたい。それ以下の小分類については割愛する。

  • 1.単純捏造

 これはいわゆる我々が認識し、かつ、最も看過できない種類の恣意的捏造。
取材や統計などから得られる情報やデータを改変・偽装するもの。間違った事実をベースに異なる結論に導くことから大半の場合、許容されるものではない。このタイプの捏造には以下の種類がある。

    • 1-a:やらせ型

    そもそも取材やデータ取得の方法が捏造に基づいているもの。やらせの取材が顕著な例。

    • 1-b:編集型

    得られる1次ソースなどの情報を恣意的に再構成するもの。各論は正しくも結論が不正であるものなど。


  • 2.結果的(不作為的)捏造

 これは構成時には事実の伝達を目的としていたが、事後的には(全体的に/特定思想側から)捏造であるとみなされるもので、これを単純に捏造とみなしうるかは明確でない。

    • 2-a:特定思想

    組織の思想やイデオロギーに基づき取材内容やデータを恣意的に用いたものであり、他方向から情報の運用方法を見れば捏造であるとの指摘を受けうるものである。一方向から見れば捏造であるとの指摘を受けることがあるが、客観的には事実誤認や恣意的解釈に近いもの。

    • 2-b:単純錯誤

    単純に取材、その編集、データ読み取り上の間違いにより生じたもの。当然、誤った結論へと導出されうる。しかし、これも結果的には捏造とみなされうるが、単純捏造ではない。


  • 3.合意的捏造

 捏造であることには間違いないが、政府と各企業およびマスコミなどが合意的に思想誘導を行うもの。したがって、その捏造への批判が社会的に広まることは想定しづらい。

    • 3-a:トップダウン・プロパガンダ型

     国家が主導的立場を担い行う思想誘導のうち、捏造であるとみなされるもの。冷戦時の反共思想や「テロとの戦い」、近隣国の反日教育などにみられる。この分類も多岐に渡る(Wikipedia[プロパガンダ]などを参照)。*2

    • 3-b:合意的利益形成型

     政府の利害、大企業や政権与党の支持母体、マスコミ等の巨大な組織の利害が一致する項目に対して、その共通する利益の実現、維持、害悪の排除を目指して行われる合意的世論形成が行われうる。この分類はその中で捏造とみなしうるものを指す。
     個人的には近年の「二酸化炭素削減」がそれに当たりうると考える。限りある化石燃料の使用削減は化石燃料が有限であること、また天然資源が乏しい日本という国土を鑑みれば、国家的にそれを指向することへの理解は一定の世間認識はあると考える。しかしながら、二酸化炭素を削減することによる地球温暖化への寄与度が絶対優位であるか否か、またはそれを国民が信じて行動することを思考しているかは疑わしくもある。その中、前述の大組織群の情報行動(データや情報の獲得方法や利用方法)は合意の捏造を形成し、大衆を妄信的に行動させようとしている可能性がある。
    そうした例においては、個人や中小団体としてはそれが合意の捏造に基づく誤った結論だと見破ったとしても、その利益形成網から逸脱して行動することが真に利益をもたらすかは想像以上に難しい問題である。




 個人や団体が「捏造である」と指摘するものが単純捏造なのか、そもそも合意の捏造なのか、その他のいずれに属すかというのは重要な思考過程であるかに思う。単純捏造に関してはその捏造元が叱責さるべきと責任の所在は明確だが、その他の場合はその責任の在り処という意味でも、それが本当に恣意的捏造によって生み出されたものかという意味でも判断は難しい。


 以上をまとめると、どんな個人も団体も捏造をする社会体とみなしうることが分かるだろう。私がメディア等の捏造は「仕方ない」と申すのはそういった文脈においてであり、決してそれを黙認しているということではない。
 そして、その「仕方ない」という部分だけを取り出して私を叱責する行為も同様に捏造であるとみなされうることを主張をしたく、自分勝手な結論に誘導してみる。重要なのは個人のメディアリテラシーであり、単純捏造に関しては総務省BPOにひとまず任せ、その他の捏造に関しては十分に考えて対応を取るべきだろう。

*1:こういう言い訳が得意です

*2:なかには政府と記者クラブとの関係を例に便宜的な情報提供と、それを利用した一定の枠内までの批判の収斂システムなどもその一種とするもの(http://www.waseda.jp/prj-m20th/yamamoto/ronza_2.html)もある。これは3-bとなることもある。