日本の企業の負担は重いか?
先日の「朝まで生テレビ」でも議論となったモリタク氏の発言。
「日本の法人税は高くないですよ。」
これに対して、パネラーからは「高いですよ」と非難囂々*1だったわけだが、この発言にはいくつかのアプローチがありそうだ。
1.「日本の法人税は高い」は正しい。
●「法人所得課税の実効税率の国際比較:財務省」
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/084.htm
東京であっても、さすがにアメリカ様には及ばないというのはあるかもしれない。
だが、他の西欧の先進国と比較しても一段高い部類にある。「法人税(実効税率が)高い」のは事実だ。
2.「日本の法人負担率も高い」は言いにくい。
●「日本の企業負担 仏独の7〜8割(しんぶん赤旗)」
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-10-08/2007100801_01_0.html
自民党時代の税調から出された資料に基づき赤旗が書いたものだが、前述の西欧諸国はそもそもその厚い社会保障のために法人所得への実効税率がたとえ低くても、
このように企業側の負担は決して重いとはいえない状況であることを示している。
さらに、
これとは別に、経済産業省が来年度(2008年度)税制「改正」に関連してまとめた国際比較でも、日本の税と社会保険料の企業負担(〇四年度)は、対国内総生産(GDP)比で8・0%で、スウェーデンの14・6%、フランスの13・9%、ドイツの8・4%と比べ低い水準です。
(同記事)
実効税率ではアメリカとトントン、比べる相手が比べる相手とはいえ、社会保障負担まで考慮に入れたら欧州諸国よりは下であるということは以下の結論を導き出すことは可能かもしれません。
「他国と比較して日本の法人税は高いが、だからといって企業負担が重いとは言えない。」
でも、これで終われる話ではなく…
経済産業省の委託調査「公的負担と企業行動に関するアンケート調査」によると、生産拠点の海外移転を計画している企業に理由(複数回答)を聞いたところ、「労働コスト」が84・7%と最も多く、「税負担・社会保障負担」は五番目でした。“企業に負担を求めると海外に逃げる”という宣伝に根拠がないことを裏付けています。
海外進出を考える企業が問題とするのはやはり「日本人のコスト高」なのです。
そして、それを特にコストのかかっている世代に分かってもらうためには、日本でやっていくよりもマスでみていい国があると本気で考える企業は実際に海外に出て戦ってもらうのがベストなのかも。
*1:番組内容にも非難が集まったことには触れないでおく。