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Wall Surrounded Journal

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一体、「ブレた」のは何であったのか

今回の参院選で最も私が疑問に思ったのは、「消費税をめぐる議論」である。

http://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/2010/news1/20100613-OYT1T00676.htm

上記は今年6月12〜13日の読売新聞社による参院選第1回継続全国世論調査についての記事である。

実に66%が社会保障目的での消費増税への支持を表明している。いくら読売新聞社の調査だからといって、同規模他社のそれと何割も違うはずはない。「これを民意」ととらえることにそれほど疑問はないはずだ。

ちなみに、質問は以下のようなものであった。

Q 財政再建や、社会保障制度を維持するために、消費税率の引き上げが必要だと思いますか、そうは思いませんか。


ところが、たった1週間後の読売新聞社が18〜20日に実施した参院選第2回継続全国世論調査においては、菅首相が、消費税率の10%への引き上げに言及したことを「評価する」と答えた人は48%となっているのである。

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080116-907457/news/20100620-OYT1T00668.htm

自民党が掲げた消費増税への支持率はそれを7%上回っているが、これは首相がそれを「参考」にすると明言したこと、さらには政策立案上も自民党のそれの方が議論の跡が見られたことなどから論理的に説明はつくかもしれない。質問の仕方は以下の通りであった。

Q 自民党は、参議院選挙の公約で、消費税の税率を10%に引き上げて、年金や医療などの社会保障少子化対策に使うとしています。あなたは、これを、評価しますか、評価しませんか。
 答 1.評価する 55     2.評価しない 37     3.答えない 8

Q 菅首相は、今年度中に消費税改革案をまとめ、税率については、自民党公約の10%への引き上げを参考にする考えを示しました。この首相の考えを、評価しますか、評価しませんか。
 答 1.評価する 48     2.評価しない 44     3.答えない 9


では、このときから消費増税への支持は急に2割も落ちたのであろうか?
しかし、そうではないといえる。

読売新聞は第3回以降も第1回と同じ文言で消費増税への民意を問うている。
その結果であるが、なんと7月14日の5回目においても「賛成」は64%となっているのである。66%→65%→64%という具合で、有意な増税支持の減少は見られないのだ。

同一質問を追う中で、(読売新聞社の調査上の)民意はブレていない。

つまり、基本的にIMFからうだうだ言われているこの状況に至らずとも、(少なくとも家にいる読売読者には)社会保障費対策の意味における消費増税は支持されていたわけである。

では今回の参院選の菅民主党の大敗の理由は何なのか、というと同調査は以下のようにサジェストしている。

Q 民主党が、大幅に議席を減らした最大の理由は何だと思いますか。次に読みあげる4つの答えの中から、1つだけ選んで下さい。

 答 1.民主党政権の実績への不満  20   4.野党への期待 7
   2.民主党の公約への不満    31   5.その他    2
   3.菅首相の消費税発言への批判 37   6.答えない   4


野党への期待というよりもいわゆる彼の「ブレた」消費税関連発言であった、というわけだ。
で、あるならば以下の様な疑問は自然に発生しないだろうか?それは、

「なぜ、一貫して社会保障目的の消費増税への一定の支持がありながら、菅政権の消費増税への発言はブレなければならなかったのか?」

ということである。


それに対する答えは、「途中で異なる民意が提示されたから」でない限りは政権の暴走となるのだが、前述のように社会保障目的での増税支持の民意が「そもそも揺らいでいない」という民意が示されているのであれば、暴走しようがない。

もしその答えが適当であったならば、今回の参院選の総括において、我々は以下の疑問を持つべきだ。

それは、如何にして「途中で異なる民意が提示されたか」である。



【参考】「フリーズする政治」 / 内田樹の研究室
http://blog.tatsuru.com/2010/07/16_1531.php