Wall Surrounded Journal

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女性を求めるのか、女性が求めるのか。

さすがにちょっと書きすぎと言わざるを得ないが、こんな意見が出て来た。

日本の新たな格差は「女性優位」(Japan Real Time/WSJより。)


”09年4月以降はほぼ毎月、男性の失業率が女性を0.5ポイント以上上回るようになった。”


日本男性の生産年齢人口は80年代にはもうすでにピークアウトしていた。
それでも生産を落とすことは出来なかった日本企業が選んだのは女性の活用だった。

景気が拡大しなくなると、不良資産の圧縮や経費の節減に取り組まねばならなくなったそれらは、今度は相対的に安価な労働力として女性をさらに活用していった。
いまでも介護業界の例にみられるように、たとえば「40〜50代の女性が最も雇いやすい」というような、以前では一般的ではなかった業種が増えている。

もちろん、社会の要請だけでこうはならない。
以前TBSのとある番組で「妻が働かなくても成り立つ収入を持つ夫がいる夫妻は全体のわずか3.5%(2009/10/15放送)」というデータが取り上げられたことがある。
同番組では女性の社会進出が同時に、若い男性の自立生活能力を高めた、という論調で「専業主婦のキャリア化」を指摘していた。
これはこれで1つの見方だと思う。

女性の社会進出はもちろん彼女らの意識の変化によっても醸成されたのだろうが、こうしてみると財界の動き(大竹文雄教授*1の仰る「大企業主義」)によって「実現させられた」とみることも出来よう。

そして、「今後もこのトレンドは続くか」という問い。
製造業・建設業と公務員が男性比率の多い最後の砦であるように思うが、前者2つはこれから劇的な雇用の改善を想定しづらく、公務員は冒頭記事にもあるように



玄葉光一郎公務員制度改革担当相は29日の閣僚懇談会で、中央省庁の幹部候補となる国家公務員1種での女性採用を30%台に引き上げるよう各閣僚に要請した。昨年の女性の割合は25.8%で、一般職国家公務員全体では、08年で17.3%だった。



ということであれば、トレンドは続くのが自然であろう。
このご時世、「男性に合う公務」は少ないだろうし、むしろ女性の方が向くものもある。少なくとも、男性が女性の5倍もいるべき職業だとは思えない。
こうしてみると、過去の例からするならば、公務員の賃金の中長期の下降トレンドも自然なものとして想定されるのではないだろうか。

さて、ここまで見たように女性の労働への裾野は広がっているのだが、皆さんもご認識の通り、管理職の登用比率では1割程度と低迷する。
これを高めるのはおそらく男性の更なる意識改革、養育施設の充実もそうなんだろうが、女性にとってのアニマル・スピリットもその1つではないか、とも大竹氏の著書「競争と公平感」にある。
活躍の場が出来てくるならば、あとは自律運動というのは納得がいく。

吉原氏のブログ「Dot Com Lovers」のエントリ「アメリカのセックスレスは社会階層の問題?」によれば、「無性的」となった中層以上のアメリカン・ソサイエティよりも日本社会の方が色気がないということであれば、今後に寒気すら覚えてしまうが、見知らぬ他人に「あれ、どこかでお会いしませんでしたっけ?」と声をかける自分というのはさすがに想像がつかない。


あ、あのハンカチ落としたのって、あの人かな。
ひょっとしたら違うかもしれないなぁ…。


*1:彼もさすがに今回のWSJブログのような取り上げ方も納得いっていないよう。